インタビュー

Helmut Thoni KWB社エンジニア  インターナショナルサポート、テクニック、トレーニング担当 オーストリア出身 49歳

2016年1月、三国観光ホテルにオーストリア製のボイラが導入されます。そのボイラ設置のためにオーストリアから来日したKWB社のHelmut Thoniさんに、インタビュ-を行いました。バイオマスエネルギー先進国であるオーストリアの技術者に、私たちのプロジェクトはどのように見えているのか。ボイラのテスト稼動中という大変忙しい合間を縫って、質問にお応えいただきました。

世界をリードするオーストリアの技術

私はKWB社で13年間働いており、主にボイラ機のインターナショナルサポートやテクニック、トレーニングを担当しています。オーストリアではボイラをインストールする人、稼動させる人が分かれていますが、私は両方やっています。KWB社は全世界でボイラを6~7万台ほを販売および設置してきました。私もチリ、カナダ、スペイン、フランス、イタリア、イギリス等などでボイラを設置してきました。日本に来るのはこれが2度目です。1度目は2015年の夏、岩手県遠野にボイラ設置のため来日しました。
 オーストリアにはバイオマスボイラメーカーが30~40社あり、ボイラの輸出も盛んです。30~40社あるので企業間の競争が激しく、そのため技術革新が生まれます。これが、オーストリアが世界をリードする技術力を持つ理由です。自動制御設備は80~90年代にかけて登場したのですが、KWB社は93、94年創業なので比較的新しい企業です。

ヨーロッパでのバイオマス普及

オーストリアでも間伐材を使います。オーストリアには農家や林家が多く、自分の山から切った木を燃料にしています。また、地域に大きな熱源供給装置があり、地域熱供給網によりホテルやプールに供給している例もあります。ヨーロッパではオーストリアやドイツ、スイスのほか、北イタリアでもバイオマスエネルギー利用が非常に盛んです。これらはもともと寒い国で、地域によってはマイナス30度になるところもあるため普及しています。南下するほど関心は薄くなりますが、最近ではスペインでもだいぶ広まってきています。というのも、オリーブの種を廃棄せずにバイオマス燃料として使う取り組みがなされているためです。
 ボイラを気候や燃料に合わせて調整することはありません。特別な調整を行わなくても、ボイラは問題なく稼動します。例えばオリーブの種はすでに乾燥しきれいな状態なので、質の高い燃料となっています。

日本のバイオマス市場について

日本のバイオマス事業はまだまだこれからですが、マーケットとしては非常に大きいと思います。また、チップの品質も良いですね。オーストリアと比較してもなかなか質が高いと思います。木の種類はオーストリアとは違いますが、大きさもちょうど良いです。日本人の技術者の皆さんの仕事ぶりを見てきましたが、非常に良いです。地元でボイラを管理できるかどうかということが、運営コスト面でも重要です。それほど難しくないので、扱えるようになるでしょう。
 日本では今までバイオマスエネルギーの利用は非常に少なかったようですが、先日パリでの会議でも(COP21)、CO2削減が取り決められましたし、ますますバイオマス利用が広がることを祈っています。

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